ただ、キミの手を


「あれ?他の人たちは?」

わたしがひとりでいることを不思議に思ったのか、辺りを見渡すように問いかける。




「あ、うん、みんなはたこ焼き粉とか見てるはず。」


うん、わたしも早く戻りたいんだけどね、届かないんだよ~。




「芦川さんは?」

当然の質問。




「あの、油を探しに来たんだけど、その、届かなくて……。」



届かなくて困ってましたなんて恥ずかしすぎる……!


宮下くん、どう思ったかな……?
ちびじゃん、みたいな?


いやいや、宮下くんがそんなこと思うわけないか。




「っふは!」


………………え?

予想とは全く違うリアクションで、思考回路が停止。


なにかおかしかったかな。




「いや、ごめん。あんまりにも必死すぎて……!」


そんなに必死な顔してたかな?
いや、きっとしてたんだろうな。


さらに恥ずかしくなって下を向く。



普通そんなわたしを見たら、みんなイライラしちゃうものなんじゃないのかな?


あ、でも茉央ちゃんも桐島くんも、あの自己紹介のあと、笑って話しかけてくれたな。




「これ?」

そう言って目的の品をさらりと手渡してくれる。


顔をあげると、意外と宮下くんの顔が近くて驚く。




「う、ん、そう。あ、ありがとう。」

緊張でなぜか片言になっちゃった。




「どういたしまして。じゃあまたね。」

わたしが反応できないまま、宮下くんはクラスの子たちのところへ行ってしまった。