ただ、キミの手を


―――土曜日



学校近くの大型スーパーに来ている。


メンバーは、わたし、茉央ちゃん、桐島くん、その他に女子ひとり、男子ふたり。

たこ焼き粉とホットケーキミックスの買い出し係。




「土曜日って意外と人多いね~」

少し驚いた顔をした茉央ちゃん。



「こんなもんじゃね?」

と桐島くん。



「とりあえず粉ものコーナーに行きましょう。」

女の子が前を歩いていく。




あ、そうだ。油が残りちょっとしか無いんだった。


油ひとつに6人で行くのは時間かかっちゃうよね。



「ちょっと油とってくるね。」

そうみんなに伝えて油を探しにいく。





あぶら、あぶら…………あ、あった。
学校にあったものと同じ商品をみつけた。

安いしこれでいいよね。



う~ん、あとちょっと。
もうちょっとなんだけどな。


目的の油は棚の一番上にあって、わたしの身長じゃぎりぎり届かない。

そんなに低いわけじゃないと思うんだけどな。


う~ん、どうしようかな。
あとで桐島くんか誰かに来てもらおうかな。





「あ、芦川さんだ。」

名前を呼ばれて振り返ると、フルーツの缶詰めの段ボールを持った宮下くん。


学校以外で会うのは初めてで、初めてみる私服になぜか心臓がドキッとした。



「もしかして文化祭の買い出し?」

宮下くんがわたしに問いかける。



「うん。宮下くんも?」

段ボールで缶詰めを買うなんてこと滅多にないから、きっとそうなんだろうな。



「そう、俺も。芦川さんのクラスは何するの?」

宮下くんがさらにわたしに訊ねる。



「たこ焼きだよ。」

言ってから後悔。そっけなさ過ぎたかな。
冷たい人とか思われたかも。



「たこ焼きか、いいね。俺のクラスはスムージー。」

わたしの心配なんかどっかに行っちゃったくらい優しい返事。