ただ、キミの手を


これがわたしと茉央ちゃんの出会い。




今思えば本当に情けないよね。

自分の名前もまともに言えないなんて……。



でも、茉央ちゃんは呆れたりしないで、それからも話しかけてくれた。



そして、今では一番の友達!



本当に、なんでわたしなんかと一緒にいるんだろうって思うほど、茉央ちゃんはいい子だ。


そう言ったら“柚は自分の魅力に気づいてないんだよ”って言われた。


わたしの魅力?
そんなのあるのかな。



茉央ちゃんのまわりにはいつだってたくさんの笑顔がある。



茉央ちゃんは太陽みたい。
みんなを照らし続ける希望の光。


なのに、わたしの顔をみると、さっきみたいに名前を呼んで、走ってきてくれる。



わたし、茉央ちゃんがいなかったからどうなってたんだろう。


友達なんてできたのかな?
いつまでもひとりぼっちだったかも。





「久しぶりだねー!」


朝からめちゃくちゃテンションの高い茉央ちゃん。

照りつける真夏の陽射しよりも明るい。



「3日前にも遊んだばっかりじゃん!」

「えへへー」


おどける茉央ちゃん、天使!
可愛すぎる!



夏休み、家が逆方向なのにも関わらず、ほとんど毎日うちに入り浸ってた茉央ちゃん。


たまに外に出てブラブラ散歩したり、ショッピングモール行ったり、映画みたり……。


毎日毎日、とにかく楽しかった。


茉央ちゃんの友達も遊びにきたり、クラスメイトの子とばったり会って、そのまま一緒に過ごしたり。


人見知りも少しは克服できたかな。




「あ、柚、つけてくれてる!」


そう言って茉央ちゃんが指差したのはわたしの髪。



夏休みにふたりで雑貨やさん巡りをしたときに見つけた、おしゃれなヘアピン。


アンティーク調のアメピンに、わたしはエメラルドグリーンのクローバー、茉央ちゃんはオレンジの花があしらわれてる。


ふたりとも一目惚れだったんだよね。



「やっぱ超可愛いね!」


そう言った茉央ちゃんの前髪にもヘアピンが留まってる。


友達とのおそろは久しぶりで、なんか嬉しい。



朝のSHRの始まりを告げるチャイムが鳴るまで、わたしたちは話に花を咲かせていた。