ここら辺では可愛いと有名な制服に着替えて、ロングの髪をアイロンでストレートにして部屋を出る。
「おはよう」
ちょうど同じタイミングでお父さんがリビングに顔を出す。
あの日、お父さんは出張に行っていて、被害に遭わなかった。
家は崩れちゃったから新しいアパートに住んでる。
去年までは仮設住宅に住んでたんだけどね。
今はお父さんと二人暮らし。
お父さんは普通のサラリーマンだから、朝はわたしと同じくらいだけど、帰りは遅い。
家事はわたしとお父さん7:3くらい。
朝ごはんはお父さんが作ってくれる。
それ以外の洗濯、掃除はわたしの役目。
たまに休みの日にやってくれるときもあるけどね。
「今日から2学期か、頑張れよ。じゃ、いってくるな」
お父さんが素っ気なくそう言い、先に家を出る。
最近やっと綺麗に巻けるようになったお父さんの卵焼きを食べて、
「いってくるね」
お母さんの写真に向かって笑顔で話しかける。
5年前からのわたしとお母さんの約束。
笑うよ、それを望むなら。
「じゃ、いってきまーす」