「あの日は本当に偶然、天気もいいし屋上行くかって思って屋上行ったらルカちゃんと会ったんだよ。
桜路抜きでコソコソなんかしてた訳でもねーから安心しろ。」
正直なことはまだ言えない。悪い。
そう心の中で謝りながら桜路に向き合う。
「…わかった。」
まだ完全に納得はいってない様子だが何とか信じてくれたらしい。
「なぁ、桜路。ちょっとこっち来て。」
手招きしてソファーに呼ぶ。
「な、何?」
さっきの事があってか若干警戒気味な桜路。
「いいから。隣、座って。」
「…はい。」
ちょっとくらい意識してもらわねーと
困るんだわ。
グイッ。
隣に来たものの全然こっちを向かない
桜路の肩を掴んで身体ごとこっちへ向かせる。
そして、正面から抱きしめた。
「ど、どうしちゃったのヒメ!
もうあたし逃げないよ!?」
「…どう思う?」
「どうって…何してんの?って感じだけど。」
「ふーん、それだけ?」
「…あとは、ヒメの声が近い。」
「まぁ、こんだけ近かったらな。」
「あたしさ、ヒメの声と匂い好きなんだよね。
落ち着く。だから、ヒメに包まれてると安心する…かも。」
…っ!
不意にこういうこと言い出すから本当に困る。
たまらなく愛おしい。
「ほんとそういうとこだよな…俺も、好きだよ。」
「ん?なに?」
ぼそっと呟いた俺の独り言を聞き返してくる。
「俺も王子が大事だって話。」
「なに、改まって。当たり前じゃん。」
勢いとはいえ俺の必死のアプローチも、
ケロッと流されちまう。
こいつにとっての"好き"は
家族とか友達に近い"好き"。
強敵だよ王子サマ。
「おっし、母さん夕飯準備してるから
飯食いにいこーぜ。」
「ほんと!?おばさんのご飯楽しみ〜
今日は何かな〜〜〜」
いつかその好きをトクベツに変えてやるから。

