「で、なんでここ最近俺の事避けてんの?」
着替え終わった桜路と桜路家のリビングで話す。
「だから、別に避けてるつもりは…!」
「もうそういうのいいから。
どんな状況でもこんなぱったり会わなくなるなんてとこありえねーの。」
現に今こうしてどっちかの家に行けば
いとも容易く会うわけだし。
「…理由は、あたしもわかんない。
けど、ヒメ泣いてた。ルカの前で。」
思い返せば確かにその直後からかもしれない。
桜路とまともに話さなくなったのは。
てっきり俺は遊園地が原因かと思ってた。
…でもあの時見られていたのならどこまでコイツは知ってる?
「見てたんだ。盗み聞きは良くねーな?」
「内容は、知らない。聞いてない。
ルカに用事があって、屋上に行って。
そしたらヒメもいて、泣いてた。」
ルカちゃんへの相談内容が
聞かれてなかった事に安堵する。
「あれは、たまたま舐めてたアメ飲んじまったの。んで涙ぐんでて、ルカちゃんが必死で背中叩いてくれてただけ。」
さすがに苦しいか…?
でも桜路への気持ちを今こんな形で
伝えることは出来ない。
長年こじらせてきて臆病になってるだけな
気もするけど。
「桜路も知ってるだろ?
俺泣き虫チャンじゃねーから。」
「…まぁ、確かに。
でもじゃあ、なんでルカと2人だったの?
昔から3人で仲良くしてて、なんかルカとヒメの組み合わせって珍しいっていうか…。
疎外感感じたって言うか。」
…そういうこと。
やっぱり桜路の中で"幼馴染"って枠、関係性への意識が強いんだな。
居心地のいい今のバランスを
壊したくないんだろ。
でも、いつまでもそんなことありえない。
誰かにいずれ大切な人は出来るし、
俺は桜路を想ってる。