テーブルの上にはお母さんの字で置き手紙。
『暁良へ
おかえりなさい。今日もお疲れ様!
前に言ってた2泊3日の温泉旅行の話、今日行くって言ってたの覚えてたかな?
というわけで、お父さんとお母さんは今日から2日間帰りません♡
お兄ちゃんはお友達の家に行くって行ってたし暁良1人残していくのも不安だったから姫宮家に連絡してあります。遠慮せず甘えてねって♡
お土産買ってくるからよろしくね〜〜!』
…そっか、そんなこと言ってたかも。
でも、それにしても急すぎて
心の準備ってもんが!お母さん〜〜!
しかも今日は金曜日。
平日ならまだしも日曜日まで両親不在って…
必然的にヒメと過ごす時間は増えるわけで…。
こうなってしまえば受け入れるしかない。
とりあえず、着替えて落ち着こう。
部屋に向かう。
でもあたしは目の前の突然の出来事に驚きすぎて忘れていた。ヒメがこの家にいることに。
ーガチャ。
どうせ着替えるだけだし、そう思って電気もつけないままブラウスに手をかける。
真っ暗でも毎日過ごしている部屋とも
なれば慣れたもの。
すると突如、背後から誰かに腕を回された。
「…ひっ!!」
「やっと捕まえた。」
確認しなくてもわかる。
耳元で響く落ち着くこの声。
「…ヒメ。」
よりによってあたしの部屋!?
電気もつけずに待ってたの…?
色々な疑問が頭に浮かんだけれど、
待って今のこの体制。
あたしの脇の下を通して腰周りに回されている
ヒメの腕。
いわば後ろから抱きしめられている形。