姫は王子で王子が姫で。




普段が普段、ほぼ毎日一緒にいるだけにルカも察して気にかけてくれていたのは分かる。



でも、今回のことに関しては自分で解決しなきゃいけない気がして、ルカにも何も言えずにいた。



それでもルカは察しがいいし、とっても思いやりのある子だ。



あたしが何も言わないから、ヒメに状況を聞いたんだろう。そこまでは理解できる。



けど、なんで泣いてるの…ヒメ。



小さい頃から隣で育ってきたあたしですら片手で数えても指が余る程しか見たことのないヒメの涙。



そんな、泣かせるほどのことをあたしはしちゃったの…?



あたしには言えないことをルカには言うの?



こんな感情は生まれて初めてだ。



不安と焦りと苛立ちと恐怖が入り混じってお腹のそこからジリジリと何かが湧き上がってくるような気持ち。


黒い感情。


2人の話し声がどんどん遠ざかってあたしの耳には届かない。やけに早い自分の鼓動だけが鼓膜まで届いている。



ルカに頭と背中をポンポンされて次第に落ち着いていくヒメ。


すっかりスッキリした表情になって笑い合っている2人。


いつもヒメを困らせるのはあたしで、解決に導いてあげることも出来ないんだ。


情けない。


常に近くにいる大切な人を支えることも、理解することも出来ない。


自然と視界がぼやけてくる。


ダメだ。こんな顔、こんな気持ちじゃルカと話できない。


余計なことをごちゃごちゃと考えるよりも先に身体が動いていた。