-桜路side-
まさか、あんな光景を目撃するなんて。
そして、その事によってこんなに胸がざわつくなんてあたしは予想していなかった____
ルカを探して校内をうろついていた昼休み。
「きゃあっ、王子今日もステキです〜♡」
「…ありがとう。あなたの笑顔も素敵だよ。」
「…! もう、、私、死んでもいいっ!!」
「王子、クッキー焼いてきたんですけど良かったらどうぞ♡」
「わざわざ時間割いてくれたの?ありがとう。
だけど、こんなに綺麗なクッキー勿体なくて食べられないよ…お気持ちだけ受け取っておくね。」
「勿体ないなんて…!私の方が勿体ないお言葉です~〜/// 」
あ~〜~〜、またやってしまった。
もうほぼ反射的に口から出てしまうこのセリフ。
演劇部に入ってから、王子役ばかり演じていたせいもあり身についてしまったクセのようなもの。
女の子達と話し終えてから我に返っていつも激しく後悔の念に襲われる。
少し歩いただけでもこうなるから、無駄に校内は歩き回りたくないんだよ…。
ルカに5限目が体育に変更になった事、知らせないと。
そうでもなきゃ、こんな事絶対にしない。
「お、よーっす王子!
今体育館でバスケやってんだけど、人足りてなくてさ~
暇してたら来れねぇ?」
「あー、ごめん。今人探してるんだよね。
明日は参加させて!」
「おっけ〜~つか、誰探してんの?」
「ルカ!」
「あー、西條ならなんか屋上の方行く廊下で見かけたぞ?」
「マジか、さんきゅ!」
いつも一緒にスポーツやってる同級生からまさかの情報をゲットした。
たまには無駄に広いあたしの人脈も役に立つもんだ。