もう、どうしていいか分からず無駄に玄関前をうろつくあたし。
結局ここ暁良の家であってるの…?
もしかして、また見た目のせいで怖がらせた…!?
そんな考えに陥っていると
バタバタバタ、!!
ガチャッ!
「ごめん、ルカ!入って!」
2度目に開いた玄関のドアから顔を覗かせたのはあたしのよく知る暁良。
よかった〜~〜~。間違っていなかったことに安堵する。
「お邪魔しまーっす。」
「ごめんね~ヒメが突然。」
「ヒメ…?」
「紹介するね!
姫宮 夏樹。あたしたちの1個下。
家が近所で仲良くしてるの!ね?」
そう言って暁良が顔を向けた先…
リビングのソファーにさっきの男の子が座っている。
「…あ、えと、さっきは悪かった…じゃない!ごめんなさい。
初対面で俺のこと男だって分かってくれるやつ、アンタが初めてだったから…びっくりして。」
「あぁ、確かに綺麗な顔してるもんね。」
ぴくっ、と "綺麗" って単語に反応する男の子。
あ、これ言っちゃダメな事…?
「こらヒメ!綺麗って褒め言葉だよ?
そんな顔しない!」
すかさず暁良がフォローを入れてくれる。
っていうか、この子と暁良…2人並ぶと本当にドラマや映画のワンシーンみたい。
こんなキラキラした空間ある…?
「姫宮だから、ヒメちゃんね。
あたしは西條ルカ。ちょっと前に転校してきたの。
暁良と同じクラス、よろしく。」
とりあえずあたしも自己紹介を済ませる。
「なんで "ちゃん" なんだよ!?」
「ヒーメーー?」
「…桜路からよく聞いてる。」
「あははっ、仲いいんだね。」
あたしのちゃん付けの呼び方に不満があった筈のヒメちゃん。
暁良には逆らえないのか、すぐに大人しくなったのがおかしくてたまらない。
そんなあたしを見て
「本当に、桜路から聞いたとおり、猫みてぇ。」
ヒメちゃんがさらっとあたしの地雷を踏んだ。