「うーん、これは暁良がちゃんと気付いてあげないといけないことだと思うんだ。

でも、いきなりすぎてわけわかんないでしょ?」



珍しく、凄く柔らかい表情で話すルカ。



「うん…何がなんだかさっぱり。」



「けど、ヒメちゃんを信じたげてよ!

暁良が最近感じてる違和感とかはあの子が頑張ってる証だから。

大丈夫!考えすぎないで、暁良は暁良らしく。今まで通りでいいの。」



「そっか…。」



相変わらず、何が何だかわからないままだけど、、ルカの言葉は何故かストンとあたしの胸に落ちた。


「ほーらっ!」



頭の整理をしていると、あたしのおデコをびしっと人差し指で突き刺したルカ。


地味に痛いんだけど…。



「しわ寄せないのー。

最近の暁良が悩んでそんな顔してるせいで、『王子が悩ましげでアンニュイな雰囲気を醸し出してる~♡』ってすごい騒ぎになってるんだから!

多分また増えたと思うよ…信者さん。」



うげぇ、まじですか。



それはいけない!あたしが騒がれると言うことは少なからず周りに迷惑を掛けてしまう…。



ルカも言ってたように、あたしはあたし。ヒメはヒメ。それでいいんだ!!



…本当はあの日あたしにそう告げたヒメの見たこともない、どこかスッキリしたような表情が焼き付いて離れないだとか。


何故か、その顔を見て息が詰まったという事はルカにも言えなかった。


…あの時のヒメは、いつもの可愛らしいヒメじゃなくて、ちゃんと''男の子''だったんだ。


理由はわからないけれど、あの顔はあたしだけが知っていればいい。そう思ってしまったから。