「暁良?どうしたよ…ここんとこ珍しくぼーっとしちゃって。」


心配そうな面持ちで、あたしに声をかけてきたのは西條ルカ(サイジョウ ルカ)。



彼女はあたしと小学校の頃からの付き合い。



小学校2年生の夏、あたしの通っていた学校にルカが転入してきたのが始まり。



小柄で、今時珍しいくらいの真っ黒髪のロングヘアー。


大きな猫目と八重歯が特徴的。


本当にどこかの黒猫が目の前に


人の姿で現れたんじゃないかと錯覚してしまう様な愛くるしい容姿。


ルカともだいぶ長い付き合いになる。


そりゃ、最近のあたしの変化にも気付くか…。



隠し通すだけムダだと考え、大人しく抱えている悩みを白状する。



「ヒメの…ことなんだけど。

少し前にいつも通り、ヒメのお家で夜ご飯をご馳走になったんだけど…その帰り道、家まで送ってくれてたヒメがいきなり頑張るとか言い出して。

その日から、目に見えたおっきい変化はないんだけど何かが違うんだよね…。」



ふんふんと相槌を打ちながら、真剣に話を聞いてくれていたルカがニヤリと笑った。


「ほぉ…ヒメちゃんにしては攻めたね~。

やっと動き出したなあのチビ助!」



「チビ助って…ルカよりは大きいよ。」



ルカとヒメの付き合いも当然、年中共に過ごしてるため、あたしとルカの付き合いがスタートした当たりからになる。


ていうか…


「攻めたとか動き出したって何?」


危ない。危うくスルーしかけた…。