…まただ。この表情はヤバいだろ。



間違いなく桜路は、年齢を重ねる事に微少だったはずの女らしさや可愛さがレベルアップしてきている。



それは、桜路を側でひたすら想い続けてきた俺だからこそ気づく僅かな変化なのかも知れない。


けれど、俺としては気が気でない。



今までコイツは同性にばかりモテてきた。



そりゃ、その辺の男より下手したら男らしい性格だし可愛い…というよりはイケメンと言われる部類の顔立ちをしているから当然といえば当然。


男からは友達感覚でつるまれ信頼されているため、狙われる事もなし。



だが、今日の校内での人気ぶりをみて俺の中での焦りは確信に変わった。



あの様子だと既に桜路をきちんと''女の子''として意識している奴も居る。



恋愛なんて全然興味の無いコイツでも誰かからアプローチをされたら…どうなるか分からない。


それに、夕飯の時のあの様子じゃあ…。



現段階で俺をそういう意味で意識する、なんてことはまず有り得ない。



となると…俺が努力していくってのが必然だろ。


だから＿＿



｢まだ、意味は分かんなくてもいい。

でもぜってぇ変えてやる。｣



｢…そ、そっか。｣



｢ほら、着いたよ。じゃ、また明日な。｣



桜路を無事家に送り届け、来た道を引き返す。



待ってろよ、俺達の明るい未来！