なにが起きたかわからなかった
カフェでお茶をしていたのに、浮気だなんだと並べられ
元々彼女でもないくせに、この女は、他の奴よりもしつこかった
水を駆けられ、注目を浴びて、追いかけていたらこんな路地裏に
しかも、俺が
『お前だけ』
なんて言うはずがない
泣き出していた彼女の顔が怒りに変わったのが分かった
でも、急すぎて体はいうことを聞かず、その場から動けない
刺されることを覚悟した俺の視界は、真っ黒の髪に遮られた
「...ったぁ。
人が人を殺していい理由なんてない、こんな物騒なことしちゃだめだよ」
刺されたのにも関わらず、優しく諭す彼女
そんな彼女を怯えた眼差しで見つめ、脱兎のごとく走り去ってしまった女
なにが起きたか理解ができず固まったままの俺
くるりと目の前の女が振り向くと見知った顔だった
「...ルナちゃん?」


