少しうな垂れてると、目の前が開けて倉庫近くの港に着いた



赤い夕陽が空から海に落ちていく




「...綺麗だね」



さっきまでうな垂れていたのに、綺麗な景色にどーでもよくなった




目が離せないあたしの左右に、海と空が立つ





「ほんとに、綺麗だね」

空を見つめる海





「うん。一時は死ぬかと思ったのにね」




海を眺める空



「太陽が沈むね」



「「...ルナ」」



「ん?」




「「ありがとう」」




...ちゅっ





「!!??」





両頬に、柔らかい感触



両頬を抑えて目を見開く



「な!?なにを!!」




「なにって、ほっぺちゅーだよ?」



ケロッと海に言われる




「あれれー?顔が赤いのは夕日のせいかな?」



クスクスと空にバカにされる





「わかってるけど!なんで!!」





「ルナのお陰だから」


左手を握る海




「ルナがいないとずっと関わることも知ることもなかったから」




右手を握る空




「「...だから、ありがとう」」





屈託のない笑顔で、怒る気もなくなっちゃったわよ




仕方なく、両手をつないだまま倉庫に帰った











...月が不機嫌になったのは、言うまでもない