今まで、何人かの男子と付き合った経験はあった。

告白したり、されたりと、きっかけは様々だけど恋をしてきた。


恋を…知っていた。


愛の言葉を言い合って、相手を思うだけ、見るだけでもドキドキした。

幸せだった。

“好き”だと、思った。



でも…、


どこか物足りなかった。

何かが欠けていた。

満たされるはずの心が、
……満たされなかった。


だからこそ、それまでがまるで嘘や夢であったかのように、
簡単に別れてしまった。


引き止めることもなく、

悲しみや苦しみで流れるはずの涙さえも、流れなかった……。



私は、“好き”という感情を知っているはずだった。

でも……、
実際は憧れや興味本位からの付き合いだったのかもしれない。

ただ、“彼氏”という存在が
欲しかっただけなのかもしれない…―