昔、私には問題児な弟子がいた。
カリーナやユーグハルト、更にはカルラの前に1人。
名はアヒュージといった。人間の少年だった。
この辺りの街でたしかアヒュージという言葉は薄汚いを意味していた。
汚い名前を付けられた少年はその名の通りスラムと呼ばれる貧しい人の集落に住んでいた。
そこから私はスカウトしてみた。勇気ある挑戦だと思うがもちろん最初は威嚇されてしかも噛まれた!痛い!!とても痛かったさ。
でもある日アヒュージは私の家に来た。どうやら私を尾行していたらしい。
「ああ。アヒュージ。なんで来たんだ?」
私は嬉しかったがわざと冷たく言ってみた。
「あ…あぁ…う…」
ふふん。言葉も出ないのか。そんなに私が怖いか!とぶんっと振り返る。
アヒュージの様子は明らかにおかしかった。
喉元を両手で抑え、ひゅうひゅうと鳴らしている。
「え、あの。とととっとりあえずっ!すまない!!中に入ってくれ!!!」
彼の背中を押しながら私も中に入っていく。
発作なのだろう。私は静かにソファーに寝かす。まだひゅうと鳴っている喉。額に手をのせると熱かった。熱が彼にある。
慌てて冷やしたタオルを持ってくると彼はスヤスヤと寝ていた。
「流行り風邪かな…まともに抗体もない身体でよくここまで来れたよね。君は。馬鹿だなぁ。」
ふふっと微笑んでから私は彼の額にタオルをのせた。

これが私と彼の初対面だ。この後に何が起きたか?少し時間を貰おうか。それはまたいつかの時間に。