そこに広がっていたのはいかにもファンタジックな空間だった。
家の見た目こそ小さく見えるものの中はそれをいい意味で裏切っていた。
「ここでゆっくりしてくださいね。私と博士とハルトはお茶の用意しますから。」
カリーナさんはふわりと優しい笑みを浮かべる。ユーグさんを見る目が無だったからか怖い印象を受けていたがどうやらその態度はユーグさんだけに見せているようだ。
「さぞかし時間がかかると思う。だからだなここ辺りの本はなんでも自由に読んでもいいぞ。」
ニャインシュタインさんは小さな体で身振り手振りで教えてくれる。
3人は部屋の奥に消えた。
「しかし広いな。こんな模型まであるぞ…」
ユンメイは天井近くにある球体の場所へ飛ぶ。
きっと私たちが住む星を模したものなのだろう。
私は本を読むことにした。こんなにある本だきっとアトランティスに関わるものもあるんじゃないのか?
私は手当り次第それっぽいものを抜き出した。

神の博学
秀でた国の知られざる真実
人体実験の秘密。
とりあえず読んでみた。けどそんなものに載ってるはずもなく私は戻した。
「カールお前はアトランティスに関わる何かを探しているんだろう?」
「そうだけど…無いみたい」
「我面白いものを見つけたぞ」
ユンメイがよいしょっと行って私が届かない天井近くの本を取る。それを私に持ってきた。
題名は

アトランティスの実態

明らかにアトランティスと書かれたその本。
何故ここにあるのかは知ることはできないがとりあえず読んでみた。
「なになに…アトランティスは絵本の中の世界と思っていた。空にあるからだ。でも、僕は見ることが出来た。
アトランティスは地上に降りていた…!?」
それは私の夢を裏返した。
アトランティスは地面にある。地上にある。
「こ、この作者はだれ!?」
「うむ…アヒュージ=トクドリップと書かれているな。発行されたのが約40年前だ。」
聞いたことがなかったから覚えておいた。この人はアトランティスを知っているから。
「アトランティスは人から目を背け、この地上で暮らしてきた。
…あ」
目の前にニャインシュタインさんが現れる。
「用意ができたよ」
シミになるからと本を取り上げられてしまった。笑顔のニャインシュタインさんは少し威圧感を感じた。
「君はアヒュージを知ってるのかい?」
椅子につく前にニャインシュタインさんは少し暗めの声を発した。
「い、いえ…初めて知りました」
私は素直に言うとそうかとニャインシュタインは椅子に座った。
「彼は実に非道で危なっかしい奴だったよ。馬鹿だ。恥さらし」
ニャインシュタインさんがそんなことを言ったことはわからなかった。
「さてアールグレイが冷めてしまう。さてティーパーティーの始まりだ。」
私は甘いショートケーキを口に入れた。
「美味しい…」
「だろ?さすがカリーナが選んだケーキだ!いっだ!!」
「ハルト。黙れ。」
「…ごめんなさい」
「確かに甘くて美味しいな。」
ユンメイもワクワクしているみたいだ。

「本題に入ろう。カール。君は実に弱い。なのになんで森にきたんだい?」
「アトランティスに…行きたいんです…」

その場が凍ったみたいになる。
みんな私を凝視する。…ユンメイを除いて。

え、私おかしなこと言った…!?