「ぐぇぇ暑い〜しかも長い〜」
「場所も知らないのに何を言ってる!これはカールのせいなのだぞ!!」
「わかってるよ〜」
季節は初夏。暑い暑い。たしか明日はこの年初の真夏日になるのだとか。
用意を済ませた私はユンメイをつれ森に続く1本道を歩いていた。
ちなみにリュックには水が入ったボトルが2個。ハンカチ、パンその他諸々。
それだけでどこにあるかわからないアトランティスに着くかとかしらないけどその前に餓死すると思うけど私が決めてしまったことだし今更後には戻れない。
まぁいざとなったら…
「なんだこっちを見て。我の顔になにか付いてるか?」
「あ、いや何でもないよ」
…美味しくなさそうだけど腹を満たす程度の肉はありそうだし…。
そう不安と期待を入り交じりつつ1歩1歩歩いていった。
やっと森の入口に着いた。
「えっとここは神聖な所なんだよね…。亜人が稀に出現して…」
「それに加え銃で倒せる程度の魔物が現れるんだよお嬢さん。」
「そうそう、だから寝る場所には気をつけ…え」
「初めましてお嬢さん。にゃふっふ」
「だ、誰なのだ!」
しらない間に隣に猫のような3歳位のこどもくらいの大きさの生き物がいた。二足歩行の、猫。獣人の類だろうか。
「私はニャインシュタイン。簡単にいえば博士さ。哲学者でもあるな。にゃふ」
ニャインシュタインと名乗った獣人。笑い声が特徴的ではあるが悪い人ではなさそうだった。
「いかにも怪しいな…」
ユンメイが地面に降りとことこと四足歩行でニャインシュタインさんに近づく。
「変わったドラゴンだね。初めまして、ニャインシュタインだ。よろしく。」
ニャインシュタインさんはふにゃっと顔を緩めた。一方のユンメイはめっちゃ怖い顔をしている。
「…まさかこう馬鹿で純粋なカールにそう漬け込んで悪さをするつもりなのだな!!!」
今ユンメイは私を貶したの、褒めたの。
色々割愛はしてしまうが簡単に言ってみよう。
あの後ユンメイはしぶしぶニャインシュタインさんと握手を交し羽をはためかせ私の隣に来た。
「で、ニャインシュタインさんはこの森に何をしに来たんですか?」
「家に行く道なんだ。よければ寄っていくかい?マリー印のケーキとマカロンとストレートティーがたしかあったはずだ。食べるかい?」
マリー印というのは聞いたことのないケーキのメーカーではあったが甘いものが食べたかった私とユンメイにとってはとても我慢の出来ない誘いであった。
私達は行きますと大きな声で言ったのだった。
ニャインシュタインはまるで愛しい人を見るように優しい笑みを浮かべた。