「カールちゃん。それ本気?」
カリーナさんがすこし顰めた顔で私に問を投げた。
その顔からはやめておいて欲しいという感じがどこか出ている。
「わ、私は本気です!確かに私は弱くてこの旅には一つしか意味がありませんが…」
少し強く彼女達にあたってしまった。私は申し訳なくなりすみませんと一言言った。
「…アトランティス。その言葉は博士の前では禁句だよ。まぁ今言っても遅すぎるけどね。」
ユーグさんは淡々とそう告げた。
…何故?知っているのニャインシュタインさんは…アトランティスを。
「……その旅の意味を私に教えてくれ。理由次第では行き道を教えてやろう。」
ニャインシュタインさんの青い目が私を捉えた。
「姉です…姉がこんな手紙が来たんです。凄く意味深な気がして…」
私はカバンのポッケから手紙を出す。
ニャインシュタインさんはそれを見て唖然をした。
「なるほどな。……キミはカルラの妹だったんだな。確かに緑の目がそっくりだ。」
「!?どうしてお姉ちゃんの名前を!!」
私は確信した。ニャインシュタインさんはアトランティスについて深く知っているのを。
「そうか…血は争えないといったところか。仕方が無い。キミがそれを望むなら教えてやろう」
「本当ですか!ありがとうございます!!」
「いいの博士?博士それで何回後悔したの?自身が一番わかってるよね?」
「いいんだ。それでいいんだよ。ユーグ。カリーナも、そんな顔しないで欲しい。これは私の決断だ。異論はないね。」
2人は頷いた。ユンメイはケーキを食べ終わったようでおすわりの体制で私たちを見ている。

「まずだな。行き道を教える前にアトランティスについて話そう。」

博士はアトランティスについて語り出した。


アトランティスは楽園ではない。絵本にあるもののアトランティスではないことを初めに伝えよう。
私の弟子、カリーナとユーグの元いた場所なんだ。アトランティスは人から目を背け地図からも消えた人工都市だ。アトランティスの区域はそれぞれ統括がいている。アーサー王、フェアリー・グリムというものだ。今認知されてるのはその2人だ。
アトランティスに人間はいない。その変わり人間に造られたもの。創られたもの。裏切られたものが集う。つまりカールキミは必然という形で敵になってしまう。

…それでもいいなら道を教えよう。



アトランティスは楽園じゃない。その言葉が一番きつかったのかもしれない。
そうだ。アトランティスはただの幻なのだから…覚悟はしていたけれど。
道はどうやらニャインシュタインさん達と一緒に辿るらしい。
…カリーナさんもユーグさんもアトランティスにいた…。ユンメイは意味深な顔をしていたが…気にしないでおこう。
「そうだ。出発前にこれを君に。カルラから託されたものだが如何せん彼女は字があまりその…よろしくないもんでな」
薄い絵本サイズの本を私に渡してくるニャインシュタインさん。題名も読めない。
お姉ちゃんの…書いた本…。
「私は少量しか読めなかったが実の妹だ。きっと読めるかも知れない。」
ニャインシュタインさんはいつものにゃふという声とともに笑った。

アトランティスに行けるんだ。それだけでまた期待と不安は揺らいだのだった。