「大婆様、リツでございます」 大婆様の部屋を前に、緊張で声が震える 「リツか、入って参れ」 ゴクッーーーー 唾を飲む音がやけに響く スッーーーー あ、この匂い・・・・ 襖を開けると 嗅ぎ慣れた薬草の香りが私を包み込んだ 大婆様は私に背を向け、文を書いていた 小柄な身体だがその背中から感じる偉大さは 計り知れないものである