私が、お腹にいる事を知った祖母は
これが娘に、とっては最後のチャンスかもしれないと...もう2度と娘の悲しむ姿を見たくないと思ったのだろう
心から喜び一言

「産みなさい」

と告げたと言う

それから産まれるまでの長い長い闘いが始まった

父は仕事で忙しく家に帰らない日もあったという
出産を迎える当日も父は仕事で家にはおず
母は分娩室で1人、必死に私を産んだのだ

「おぎゃーおぎゃー」

けたたましい泣き声と共に私は、この世に生を受け誕生した

夜もふけた11時57分の出来事

父は私の出産には待ち合わなかったが大急ぎで駆け付けたらしい

私が産まれるまで男か女を知らなかった両親
母は初めて抱く我が子を、どんなに待ちわび嬉しかったに違いない

でも...父は...

私を見るなり

「なんだ女か」

と少しガッカリした様子で告げたと言う

母は今でこそ笑いながら話してくれるけど当時は

「怒りを通り越して悲しくなったのよ」

って言っていた

その瞳が、どこか本当に悲しそうで私は他に何も聞けなくなったのを今でも覚えてる

のちのち大人になった時に父と、お酒を飲み交わしながら当時の出来事を訪ねた事がある