「……っ……! どう……っして…婚約破棄…したって言ってたのに…っ!」
家に着くと、さっきまで目に溜まっていた大粒の涙がみるみるとこぼれ落ちた。
もしかしたら、勘違いかもって…そう思ったのに。
どうして婚約者がいるの?
分かんないよ…。
こんな…こんなんじゃ、誰にも相談出来ない。
それに…苺花に見られた。…聞かれた。
どうしてあんな所にいたの…?
…さっきの苺花はすごく可哀想な子を見てるような目だった。
これからずっとそうなら…きっと耐えられない。
「………っく……っ!……」
静寂の中、私の泣き声だけが部屋に響き渡った。
その時、トントンと扉をノックする音が聞こえた。
「…は、はい…っ…」
「…お嬢様。ふみでございます。…お友達がいらしたのですがお通し致しましょうか?」
友達…?
ふと頭に苺花が浮かぶ。
「…っ!断ってちょうだい!…今は…ちょっと…。」
「かしこまりました。…ってちょっと…お辞めください!!」
ガラッ!!
状況を把握する暇もなく、扉が開いた。
「……!」
そこには
「千代、苺花に全部話すべきだと思うぞ?」
泉舞が立っていた。



