高校2年の5月、転入したてのあたしはなかなかクラスに溶け込めずに、おぼつかない足取りで1人屋上へ向かった。 扉を開くと颯爽と春の風が入り込み、気持ちが良かった。 普段開いていないはずの屋上。 でも、その時は何故か鍵が開いていたのだ。 不思議には思いつつも、あたしはドアノブに手を掛け、吸い込まれるかのように屋上へ出た。