「ところで千代さー。」
「ん?」
「なんでこんな時間に1人で歩いてたの?今、家庭教師来てんじゃねーの??」
サクはふと不思議そうに言った。
…あ、そうだった。
私、秋弥に振られて飛び出してきたんだった…。
怖さのあまり、サクに言われるまで忘れていた。
「実は、秋弥に振られちゃってさー家飛び出してきちゃったんだ。」
私は笑って答えた。
ごめんと言った秋弥を思い出すと旨が苦しくて笑うしかなかった。
「…そうなんだ。」
サクは何故か振られた私より辛そうで。
そして
「頑張ったな。悲しい時まで無理すんなって。千代は小さい頃からそうやって笑ってごまかすから危なっかしいんだよなー。」
と言って、頭をぐしゃぐしゃと撫でてくれた。
涙はツーッと頬を伝い、ぽたぽたと地面にこぼれ落ちた。
その時のサクはなんだかいつもより大人びて見えた。
「はい、着いた!!」
私が泣き終わる頃には家の前まで来ていた。
…家の前まで来たはいいけど、きっとまだ秋弥…いるよね。
顔を合わせたくなくて、なかなか家に入ることが出来ない。
「しょーがねぇなー。」
サクはそんな私を見かねて、玄関まで手を引いてくれた。



