「千代子。この人が今日からお前の家庭教師をやって下さる京極秋弥(きょうごく しゅうや)先生だ。くれぐれも恥を欠かさないように。」



私が小学生の頃、この人は突然やってきた。



「千代子ちゃん。よろしくね。」



どうせ、この人も私が何も出来ない役立たずだって…私を見捨てるのよ。



私を見捨てないで付いてきてくれたのは幼なじみのサクだけ。



「千代子ちゃん、それじゃあ今からお父さんに内緒で遊ぼっか♪」



「え…。」



この人何言ってるの。



「そんなことしたらお父さんに怒られるわよ。」



私は冷たくそう言い放った。



それなのにこの人は嬉しそうに



「千代子ちゃんは優しいね。心配してくれてありがとう^^」



ってそう言ったの。



「…馬鹿じゃないの。」



私はこの時、微かではあったけど私に向けられた笑顔が嬉しいと思ってしまった。