しばらく歩くと足元に光るものが見えた。



拾ってみるとそれはチェーンの壊れたミモザアカシアのネックレスだった。



これってサク君の…。



「…あんな奴辞めろよ。」



聞こえたのはサク君の声だった。



「あ、サクく…。」



「分かってるわよ!!…先生を…秋弥を好きになったら自分が傷つくって…そんなの私が1番分かってるわよ!!でも、私はあの人を信じたいの!」



千代ちゃんはそう叫び、心の底から泣いていた。


そんな千代ちゃんサク君は力強く抱き寄せていた。


子供をあやすように。あたしを慰める時にはそうやって抱きてしめてくれた。



でも、その時のサク君はいつもと違って、力強く、今までで見たことのない顔をしていた。



頭が真っ白になった。



何も考えられなかった。



その中でも唯一ひとつ分かった事があった。



サク君のあの顔。



あたしには見せたことのない顔。



あぁ…。



サク君は千代ちゃんが…好きなんだ…。