キーンコーンカーンコーン

「急がないと置いてくよ!」

「待ってぇー(泣)」

今日はこれから3組との合同体育。

着替えるのが遅い私は危うく置いていか

れる所だった。

「せいれーつっ!」

集合がかかり皆慌てて並ぶ。

「はぁー…」

体育が嫌いな私はため息をつく。別に

運動が嫌いな訳ではなく、体育の先生の

話が体育の時間よりも断然長いからであ

る。

「今日はバスケで試合をしてもらうぞ」

バスケか、バスケ部である為得意分野だ



「じゃあ皆試合コートへ行けー」

長あい話がようやく終わり一斉に皆

コートへ向かう。その時イキナリ背中を

叩かれた。

「よー!まお!と、えっと雪ちゃん!」

振り向くと由詠と薮君がいた。紛れも無

く、叩いてきたのは由詠だ。

「いったいな!もう!」

プンスカしていると、

「大丈夫? ごめんね由詠バカ力だから」

クスクス笑いながら由詠の代わりに謝っ

てくれたのは可愛い可愛い薮君!

「ぜーんぜん!大丈夫だよー」

薮君が話してくれたのが嬉しくって

思わず許してしまう。薮君はこうやって

大人数は他の男子ずてに話してくれるけ

ど、2人の時は気まずそうになかなか口

を開いてくれない。

「何で薮には甘いんだよー!」

「由詠と違って優しいもーん!」

言い返しながら赤くなっている顔を

由詠に見られないようにソッポを向く。

そう。私は薮君に恋をした。人見知りの

薮君との関係は廊下で会った時に挨拶し

たり、LIMEで話しかけるだけの知り合い

以上友達未満だったりする。でも私は

薮君に掛ける1言を考えるだけでいっぱ

いいっぱいだったりする。

「んじゃ、見とけよ!絶対ゴール決める
からな!」

二人ともコートに着くなり走り去って行

った。由詠と薮君を見つめる女子の視線

が痛い程分かる。由詠も薮君もモテる方

だ。ココ最近由詠から自慢話を聞くので

2人がモテる事は知っていた。

ピーッ!!

「試合始まったよ!」

ゆきの声で私は我にかえり、必死で薮君

を見る。薮君バスケ部で小さいのに

バスケ上手いんだっけ?コレは惚れるな

「頑張れー!!」

私は皆と一緒に大声で応援し始めた。