あっという間に日にちは過ぎ、
今日はついに学内オーディション。
いつもは、レッスン日が違って会うことのない人とも会える貴重な機会だ。
私自身も、前回のオーディション以来会ってない子も居るので少しだけワクワクしていた。

「おっすー、宮田と黒田は今から?」
こんな時でも緊張を一切見せずいつものように
声をかけてくれるもっちーを見ると、
少しだけ、感謝の気持ちが出てくる…ものの
本人に伝えると調子に乗るので伝えることは無い。

「もっちーは、相変わらずだねぇ!
緊張しないのが羨ましいよ…私も隣で心暖がガッチガチだからか少しは落ち着いてられるよ」
舞夢もなんだかんだ言いながら、こう言う雰囲気には強いらしい。
前回はオーディション直前なのに、呑気におにぎり食べてたっけ。

「もっちーと舞夢が落ち着きすぎなんだよ!
私なんて足の震え止まらないのに…」
私はどうも[オーディションの空気]と言うものには慣れれなくて。
水分を摂るのが精一杯。

「次!宮田、黒田、伊藤、清浦。スタジオ入れ〜」
先生に呼ばれてスタジオに入ろうとした直前
「宮田さんっ」
ふいに名前を呼ばれた。
が、運悪く4人のうち先頭になってしまった私は
振り返ることが出来ずにスタジオに入る
「ファイトだよっ!」かすかに聴こえた彼の声。
その一言が何よりも私を落ち着かせてくれた