* ウソツキ *

2人で取り残されてしまった…

「行きますか…宮田さん大丈夫?」
「うっ…うん」
「僕じゃ嫌かも知れないけど、捕まってて良いから、行こうか」
「えっ…あ、うん」

好きな人とお化け屋敷…。
あれ?私って今すごく青春してる…?

お化け屋敷の中に居たのはほんの数分間の出来事。
それでも、一瞬一瞬が新鮮で。
こんな時間がずっと続けばいいのに…なんて思いながらも、
怖いことに変わりは無かった…

「心暖〜そのその〜お疲れい!どうだった??」
「もう無理…怖い…」
「心暖、声枯れてない?そんな怖かった?」
市営施設のお化け屋敷ってことで、
そこまで怖くないだろうと少しだけ甘く見ていた。
中は思ったより本格的で叫びすぎてしまい、
喉を痛めてしまった…
「オーディション後で良かったよ…ホント。
想像以上だもん!これ、怖いって」
「宮田さん、ずっと叫んでたもんね。
地味にずっと爪立ってて痛かった」
「あっ、ごめん…無意識…」
「別に大丈夫。捕まってろって言ったの僕だし
あれ、もっちーは?」
そう言えば、もっちーの姿を見ない
「あぁ、誠ね。あいつホントにお化け屋敷ダメだったみたいで。
出てきてたら、顔真っ青でさ。お水買ってベンチで休ませた」
「まぁ、あれだけ嫌がってたもんね…
じゃ、もっちーのとこ行こっか。1人ぼっちも寂しいだろうし…」