カーテンの隙間から漏れる夏の強い光で目が覚めた。
眠気と眩しさで目を細めながら壁の時計を見る。
まだ9時だ。二度寝をしようか迷う。
ディナーの時間のレストランで働いている僕にとって、9時は起きるには早すぎる時間だった。
仕事の日でも寝ている時間だ。
今日は休みだからもっと眠れる。
折角目が覚めたんだし起きようか…なんて思わなくもないけれど、友達も居ない、趣味もない、そんな僕が起きてやる事もないので、もう一度寝ようと目を閉じる。
なのに。
眠れない。目がさえてしまった様だ。
「…顔を洗ってこよう」
ベッド、イス、テーブル、クローゼット、本棚。
そんな最低限のものしか置いていないこの殺風景な部屋で、僕は1人呟きながら伸びをした。