着替えた後、教室に戻る際に、トイレに入る。



トイレの鏡で、ドッジボールの時に出来た傷を確認する。


まだ、血も固まってない。



前髪で、傷を隠し、教室へ戻った。






そして、放課後......



女子が私の机の上に大量のプリントを乗せた。




「桜木さん。私、今日彼氏とデートだから、遅れられないんだよね~。だから桜木さんこのプリント、やっといてね!よろしく~」





なんて、勝手に頼まれ、しょうがなくプリントを片付け始めた。



「ハァ、何で私がこんなこと......」

と、呟きながらプリントをする。




背後からあの声が聞こえた。




「お前、まだイジメられてんの?」

そう、リュウの声。






反発するように私は言う。

「だから、永井くんには関係ないでしょ。」





すると、リュウは私を気遣ってか、プリントを手伝う。

「俺、手伝うよ。」




二人で黙々とプリントを終わらした。





私は両腕を上げ、言う。

「はぁ~!やっと終わった!」



「優花、終わったな。」

リュウもホッとしてる様子。





「永井くん。ありがとね。私、そろそろ帰るわ。」

リュウは帰ろうとした私の腕を掴み、あの話を切り出した。




「イジメのことなんだけど......」

「だから、何回も言ってるでしょ!永井くんは関係ない!」





リュウは言った。

「ふーん。別にそれなら良いけど。でも、おでこに傷があるんだけど。」




私は額を手で隠した。


「この傷はドッジボールの時に出来た傷だから。別にイジメられて出来た傷じゃないよ。」



リュウは安定の無表情で話す。


「でも、優花、“辛い"って顔してる。」


「辛くなんてないよ。」

ってごまかす。




「俺の言うことだ。ちゃんと聞いとけ、俺らみたいに学園1のモテ女になれ。」



私は腕を掴んだリュウの手を振り払おうとした。


でも、リュウの手はそんな簡単に振りほどけなかった。




「わかった。って言うまで、帰さねぇから。」



もう、こうなれば、選択肢などない。




私は口を開いた。

「わかったよ。モテ女なったら良いんでしょ!」




「やっとわかったな。じゃあ、早速あそこ行くぞ。」

結局、わかった。って言っても帰してくれないのか......

と、思いながら腕を引かれる。