PCの電源を入れ、業務に必要なデータを拾い集めてく

来客のお茶出しは若い由宇ちゃんにお任せだから
紗都の出番はない…はず

「紗都~っ」
会議室のドアから顔だけ出した所長に呼ばれる

「はい、ただいま…」
会議室に入っていくと、こちらの挨拶も待たず

「紗都、今日から神野が1週間、会議室使うから。
紗都は神野のアシスタントで会議室勤務な。
神野、さっき会ったからわかるな。一ノ瀬だ。」

はぁ?!

冷静に装っていた紗都も、いきなりの業務命令に
あっけにとられたが

「了承しました。一ノ瀬 紗都です。
今担当している案件はゆ、いえ、播磨さんに今日中に引継します。
明日までに必要な物などは言ってもらえれば早急に
用意いたします。
私の業務開始は今日の午後からでよろしいでしょうか。」

一気にまくしたてると
神野が

「一ノ瀬さん。よろしくお願いします。
必要な物ですが、先ほど届いた段ボールに
全て入ってます。午後から開封と準備を手伝って
いただけますか?」

「では、午後からこちらに入りますので
よろしくお願いします。」

軽く一礼し、退室する紗都

予定が一気に狂った…

少しイライラしながら由宇のデスクに向かう

「由宇ちゃん、私が今抱えてる仕事
引継するから、データ全部引っ張っておいて。
私は明日から会議室勤務になったから。」

「え~~~!紗都さんの仕事、難しいんですよ~
私じゃなく、間宮、いや、誰か別の人に頼んでくださいよ~」

「文句言わない!このデータとこのデータをベースに
まとめるだけだから。わからない事は会議室まで
聞きにきたらいいでしょ?」

「はぁい…まぁ、神野さんに会えるし…そこからなにか
芽生えるかも?ん~~…仕方ない、わかりました!
お引き受けします!」

由宇ちゃんよ…何が芽生えるか知らないが
顔が悪い人になってるよ…