「李都~!小都~!ママもう出るからねぇ!」

家じゅうに響き渡るような大きな声で
子供達の部屋に声をかけると

バンッ!!
勢いよくドアが開いたと思ったら
しっかり者の李都が部屋から顔を出して

「ママ!自転車?雨よ?」

「ええええええ~っ!!!
 …レインコート!レインコートどこだっけ?
遅刻しちゃうぅ~!!!」


どこ?レインコート!どこ~~~???

思い当たる所を必死に探す

ない!ない!なんで???



……慌てすぎ。またお前は俺を忘れてたな…

上から声がして、紗都の体が宙に浮かんだ

え?え?
「ちょっと!今急がしっ「さっさと行くぞ」」

上を見ると、呆れ顔の壱弥が紗都を抱えて歩いてる


「「いってらっしゃ~い!」」
「ついでにママ?レインコートは小都がもらったじゃん?
ママ、雨の日はパパが送って行くからいらないじゃん(笑)」

子供達に言われて初めて気づいた…
小都にあげたんだった…


壱弥は車のドアを開けて助手席に紗都を置く
運転席に乗り込むと、無言で走りだす


「ごめん…」
「焦りすぎ。天気予報で雨だって言ってたろ?」
「…その時間は…唐揚に夢中で聞いてませんでした!」
「お前なぁ…」

顔をあげると事務所の前

「行って来い。帰り迎えにくるから」
「うん!ありがと!行ってくるね♪」

車を降りると手を振って小走りで出勤


雨の日って朝から疲れるわぁ…