振り向いた先にいた人物。
「ん？ 俺のこと知ってる？」
―――知ってるも何も……。 私がここに、この世界に生きている理由が、君なんだよ……。
なんて言えるわけもなく頷いて見せた。
「俺も知ってる〜！ 明原 紅だろ？」
「……笑ってもいいよ」
みんなと同じように名前負けしてるって。似合わないなって、笑ったっていいんだよ。
それだけでヘコたれたりしない。
それだけで傷付いたりしない。
もう、慣れてしまったもの。
それに、君はきっと忘れてるだろうから…。
自嘲気味に言った私にキョトンとした顔で首を傾げる。
「は？ 何を笑うわけ？」
「何って……、」
「みんなが言ってるやつ？」
「………」
「笑う必要ねえよ。 だって、似合ってんじゃん」
「……え？」
初めて言われた言葉に耳を疑いながらも聞き返してしまったのは、もう一度、嘘じゃないと言って欲しかったからだと思う。
