冷静な頭で状況判断し、勢い余って倒れた体を静かに起こす。



「あなたは……明のことが好きなの?」

「――っ、」



私の言葉に視線を揺らしながら悔しそうな顔を見せる。


私には言いたくないかな。


やっぱり、本人にちゃんと言いたいよね、ごめんね…。



「無理に言わなくていい。だけど、ごめんなさい…。私も、明が好きです」

「………知ってるわよ…」

「え?」



蚊の鳴くような声で言った彼女の言葉に思わず下げた頭を勢いよく上げる。


え、だって……知ってるって何……? 私誰にも言ってない…。


どういう事……?


私の顔を見て彼女は言った。



「明原さんも明くんも、同じ顔してるから。同じ笑顔で、心の底から笑ってるのが分かるっ…から……」



悔しそうに、今にも泣き出しそうにそう言った彼女は、心から明が好きなんだと分かった。