『狂っていたのは、僕だった』〜くる僕〜



《学校》






計画に必要なものを揃えようと


今日はホームセンターに行こうとしていた







「悠〜、可奈が探してたよっ」




クラスメートの1人がそう言った




「藍原さん?わかった、探してみるね」




僕は基本的に人が嫌いだ


だから、自分から人に関わることはない





兄さんだけがほしい










…そんな僕に?






何か面倒なことじゃないといいけど





第一、藍原 可奈《あいはら かな》とは1度も話したことがない






辺りを探していると後ろから名前を呼ぶ声がした






「悠くん、、!!」






振り返るとそこには彼女がいた



「僕のこと探してたって聞いたけど、なにかあった?」






できれば早く済ませたくて


少し急かした言い方をした





「えっと…」





「悠くんと、付き合いたい、、んだけどっ…」








まさかとは思ったけど





なんでそう思うんだ


極力誰とも関わらずにきたのに






「どうして?」





理由が知りたい








「こんなこと言っちゃ悪いかもしれないけど、、悠くんの見た目すごくタイプで…ひとめぼれしちゃって……でも話す機会なくて、、だけどね…!言わないままは嫌だったから…」








僕は自分の見た目なんか

全く良いとは思わないのだが







そこを好きになられては理由も何も無い





「ごめん、藍原さん…僕、そういうのあんま分からないんだ」







答えはひとつしかなかったから




さっさと伝えて、帰ろうとした




「待って!!!」








「悠くん!!……悠くんは何も頑張らなくていいから!!私、悠くんのために頑張るから…なんでもするよ…?」










ピクン








…なんでも?







一瞬、僕はその言葉に高揚した







だけど、計画はもう出来ている











じゃあ…





「ありがとう、藍原さん」














僕は彼女の耳元で呟いた





「じゃあ、言葉に甘えて、僕の道具にさせてもらおうかな」









「…えっ?……う、うん!!ありがとう…」






彼女に、愛が生まれるわけがないが



僕は彼女との交際を受け入れることにした







駒として



そして代用品として





僕は彼女を道具にしようと思った









「じゃあ、これ、連絡先だよ」





そう言って、番号を渡した






「あっ…うん!…あ、悠くん?可奈、で大丈夫だよ」






「可奈、ね」







「じゃあまたね、可奈」





こうして可奈とあっさり付き合うことになり


可奈を利用するためだけに使うことになる








それから再び僕は計画に意識を戻し



ホームセンターへと足を運んだ








可奈はまだ後ろで僕を見ていただろう