なんと、今日は四時間目までで終了。

新しい部活見学に行くために早めに終わったんだって。

なるほどね。と思いつつも私は見学先に軽音部がないのを知る。

黒澤に、"軽音部は無いの?"と手話でやってみせるが、「軽音部は昔廃部して、継ぐ人がいないともう今年で打ちきりになるらしい、俺らなら廃部の危機を守れるんじゃね。」

そう言うので職員室まで行き、五人で「お願いします!」と言うように頭を下げた。

そしたら先生は、「いいよ、嬉しいことだ。なら部室を用意してあげよう。
」と言ってくださった。

そのあとの廊下では、私と黒澤、仁美と夕樹と秀二で大盛り上がりしていた。

「やったね!廃部の危機を救えたんだよ!!やったね、永子ちゃん!」

そう仁美が目をみてそう言いつつ手を握ってきたので微笑み、

「相原がいないとできなかったことだな、俺と黒澤以外は初対面だったし。感謝感謝だ」

そう続いて秀二が言う。

「まったく、僕は斎藤さんと面識ありましたからね。入学式の時にカメラ頼んだだけですけど…。」

それは面識はないだろう!と大きい声で秀二が夕樹の背中を叩く。

「あぁっ、痛いですって」

プンプンしながら夕樹は秀二に怒る。

その時に黒澤が会話に入ってきた。

「んで、良かったことは置いとく。それから。部長と副部長を決めないと。」

みんなはうーん、と悩みながらもハイッと言う人は誰一人いなかった。

言い分によると、

「私はそういうの慣れてないのでパスで…」

や、

「俺は勘弁。ちょっとヒートしそうだからな。」

それに、

「僕はすぐにキツいことを言うかもしれないので向いてません。」

おまけで、黒澤は

「エーコが部長やるなら俺は副部長をやる。」

と言ったので強制的に私が部長になってしまった。

勿論反対はしたんだけど、一番しっかりしているし、一番アドバイスをくれそう!

と言う理由で私が部長になった。

黒澤が、「お前ならいい部長になれるって信じてるし。だから頑張ってな。」と、嬉しいことをいう始末、一日が楽しくて楽しくてしょうがなかった。

ガチャリと、私達は担任の如江先生に「ここを使ってね」と言われた所をのぞきこむ。

まさか…、のまさかだったんだけれど。

地下…って言う。

しかも長年使ってないとのことだし。

ちょーこわいじゃんね…。

なんか蝙蝠がいそうな位暗いし(ダジャレじゃない)、

蜘蛛の巣張ってない…?

とゆうかここ、肝試しとかで使われるところじゃないの!?

呻き声とか、ちょこちょこ聞こえてくるし、絶対ここお祓いしたほうがいいよね…。

でも、そんなことできないしまずは電気をつけるところを探さないとね。

五人もここにいるってことは、その分探すのが早くなる筈なのに皆は「ギャアアァアア」だの「でたぁあああぁ」だの、触れる度に大きな声を出す。

「お前ら落ち着け。」

と静かな声で黒澤が言ったのでみんなは黙ってくれた。

さすが。

「あっ、これかな……。うん、これだよね。」

四角い形が保たれていないコンセントとスイッチ。

一体何年前の部屋なんだろうか。

そうこう考えてるうちに明かりがパッとついた。

「おぉ、良かった良かった。、これだったね。」

「僕、もう肝試しは行かないことにしました…」

「我ながらビビりすぎた…。」

と、三人はへなへなしたような体になっている。

"わ、私も思ったよりビビりで…"と手話をすると黒澤は、

「お前はそんなビビりじゃねーよ、いたって冷静。可愛いげは無し。仁美みたいになれよ。」

と言ってきたのでムカッときた。

私に比べ仁美は嬉しそうにしている。

「ま、とりあえずここを掃除しましょう!どうにかしないといけませんからね。お願いします。僕は此方を。」

と、夕樹が指したのは倉庫。

「じゃあ私は天井を綺麗にするね!」

仁美は椅子を持っていって、すぐさまとりかかった、ちなみに雑巾は秀二が持ってたもの。

「俺はじゃあ、床をやるぜ!」

と、いったあとの何秒かでササーッと走っていった。

ここの部室は以外と汚いけれど、思ったよりもでかかった。

予想以上にでかくて、私も正直ビックリしたけれど。

「俺は、使えそうな楽器があるなら見てくる。」

と後ろを向いて去ってしまった。

「永子ちゃーん、手伝ってー!」

と仁美が言ったため私はすぐさま駆けるように向かった。

コツコツコツ…黒い影の中には黒澤がいた。

「ゴホッゴホッ……、っ、こんなところがあったとは、な。父もたいそうなことをやるやつだ。…」

そう言ってヴァイオリンやらグランドピアノ、電子ドラム、ベースなどが見つかった。

「…あーあ、これは使えなさそうだな」

そう言っているうちに夜になっていて、気づくのが遅くなり、私達は明日も掃除をする、ということで部室に早めに来よう!という約束をした。

けれど、さっき以来黒澤がすっごい機嫌悪い。

"何かあったの?"って手話で聞いても無視をしてくる。

それは私が喋れないから?

ちょっとだけ隙間空いてるの?

そもそも、これまでの態度は同情だったのか。

……人間ってよくわかんない。