昨日の真央ちゃんの言葉が頭に響いて、いつも布団に入るとすぐ寝れちゃう私もさすがに昨日は寝られなかった。「白浜君も北山君も海那の事が好きなんだよ」って真央ちゃんが言ってたけど、だったらなんで星那は私に話しかけてくれないの?なんで千夏ちゃんと帰るの?潤との約束って何の事?潤は助ける為に言ってくれたんだよね?でもあの目は悲しい位綺麗で、嘘を言ってる様な目じゃなかった気がする。とはいえあの状況で言わなくても。。もうあの2人本当意味が解らないよ...。

結局私は朝になっても学校に行く気にはなれず、お母さんに嘘をついて学校を休んだ。布団に入ってても答えなんて見つからないので、部屋の中でTVを見たり、珍しく勉強をしてみたけど、全く頭に入って来なくて、全然意味が無く、頭の中はごちゃごちゃのままだった。「今頃学校は大騒ぎだろうなぁ。」と想像するだけで余計に学校には行きたく無かった。

それから5日後、真央ちゃんの説得により私は学校へ行ってみた。真央ちゃんの言う通りあの日の噂では無く、人気ランキング1位の千夏ちゃんの噂で持ちきりだった。「ねえねぇ聴いた?千夏のやつ星那君に付き合えないって言われたからって、変な奴に帰り道いつも跡をつけられてるって嘘付いて一緒に帰ってもらってたんだってえ」「マジ?!それ最低じゃん‼」「必死だねぇ」と色々噂になっても千夏ちゃんは本当に付き合ってる、星那君とは喧嘩中なだけ。って必死になって皆に弁解していた。「ね?言ったでしょ?」と真央ちゃんに言われたけど、千夏ちゃんがどこか可哀想に思えて来た。星那の事本当にに好きなんだなぁ。。と思いながら教室に入ると潤が「海那、体調はどう?大丈夫?」とか話しかけて来たけど、私は「だ、大丈夫」と答えただけだった。星那も休み時間に様子を見に来てたけど、気付かないフリをしてた。あの日以来2人にどういう態度を取れば良いのか解らなくて、結果避けてなんとかやり過ごす事しか考えられなかった。心配してる2人に申し訳ないと思うけど……。
そんな時、1、2組対抗マラソン大会をやる事になって、来週まで休めば良かった。と後悔した。男女に別れて各自校庭を3周して次のランナーにバトンを渡してどっちのクラスが早かったかを競うはずだったんだけど、千夏ちゃんの友達に足をかけられ、私は皆の前で転んでしまった。見事に転んだからか、あちこちから血が出ていたけど、ひねった足が痛くて中々立ち上がれなかった。その時潤が「大丈夫か?!」と駆け寄って来てくれた。その時足をかけて来た千夏ちゃんの友達が小さい声で「あんたにはそっちのキモ男がお似合いだよ!星那君が好きだからって千夏の変な噂流さないでよ!大体千夏と張り合って勝てると思ってるの?!チョー受けるじゃん!」と言って来たので、言い返してやりたかったけど、皆見てるし、何より足が痛くて言い返せなかった。潤の次に駆け寄って来てくれた真央ちゃんが「あんたねぇ!海那の事バカにしないで」と言ってるのを潤が手で制し、「でしょ?星那より俺の方が海那にふさわしいだろう?」「うんうん、お似合いお似合い!」ハハハッッ!と笑われているのに潤は平気な顔で「そうだよねぇ」と笑いながら、学校では見せない綺麗な目を見える様に髪をかきあげ「俺の様な売れっ子モデルには海那がお似合いだもんねぇ♪」というと私を抱き上げ、保健室に連れて行ってくれた。皆と一緒に固まっていた真央ちゃんも後ろから一緒に来てくれたけど「海那。だ、大丈夫?」と視線は潤に向けていた。真央ちゃんもビックリしたのかな?と思っていると「真央ちゃん、後は任せたよん♪」と潤が保健室の扉を閉めて出ていってしまった。「どうして教えてくれなかったの?!」と真央ちゃんが突然驚いた顔で言って来たので「な、何の事?」「Kの事!顔を隠してるから解らなかったよぉ。でも、スタイルは似てるなぁ。って思ってたんだ。あ!後でサインもらわなくちゃ!」…「Kって誰の事?」「は?あんたの隣の席に座ってる潤君の事!あ、本名北山潤って言うのかぁ♪」「ケイって真央ちゃんの好きなモデルさんでしょ?そのケイがどうして潤なのよ。」「何も知らないの?!Kって名前だけで年齢も出身地も本名も明かされてないけど、またそこが魅力的で格好良いんだ。今どこのプランドでもKを使ってて、凄く人気があるんだよ!今頃校庭では女子の悲鳴の嵐だよ」と校庭を指してウィンクした途端、凄い悲鳴が聞こえた。潤がモデルのKって事はすでに学校中に知られてしまったが、潤は髪をかきあげた状態で平然としていた。
お昼休みの時「潤、ごめんね。本当は知られたく無かったのにごめん!私のせいで!」と謝ったが「そんなのどうでも良いいよ。それより足大丈夫?痛そう‥」と私の心配をしてくれたけど本当申し訳なくて「本当は隠しておきたかったんでしょ?!私のせいで‥本当、ごめんなさい。」とまた謝った。そんな私に潤は「本当は一番最初に海那に気付いて欲しかったんだけどなぁ(笑)」「…すいません」「まぁ、ちょっと計画通りとは行かなかったけどね」と机の上にうつ伏せになって残念がっていた。なんて声をかけたら良いのか悩んでいたら突然「ねぇ…海那、俺を好きになれよ。」と机にうつ伏せていたはずの潤の綺麗な目で見つめられると、なんだかドキドキしてきて目が離せなかった。もうその後は授業が終わる度に潤を見に沢山の女子が教室に来ていた。
学校が終わり、昇降口で真央ちゃん、潤、私の3人で話していた時、千夏ちゃんが取り巻きと一緒に来て、「少し潤君と話がしたいっ」て言って潤を連れて行ってしまった。潤は家まで送って行くって言ってくれたけど、真央ちゃんに支えられながら昇降口手前の階段を降りていた。その途中、私の体勢が崩れて落ちる‼って思った瞬間、力強い手で支えられていた。お礼を言おうと顔をあげるとそこには星那がいた。…「じ、じゃあ、私潤君探しに行って来るから、白浜君がちゃんと送ってあげてね‼」と言って止める間もなくどこかに行ってしまった。星那が「チョットここで待ってて」と言って私を階段の所に座らせると、自転車を借りて来てくれた。「海那…ちゃんと捕まって。」と星那が私の手を取り、自分の腰に掴まらせてくれた。ドキドキして苦しかったのに、海沿いを走ってると、息苦しさを海風が消してくれた「気持ちいい‼」と何気に言ったら、星那も「気持ちいい!!」と叫んでくれた。「少し寄って行くか?」と連れてこられたのは、小さい頃布団を抜け出して星那が夜空を見せてくれた海岸だった。
『昔から1人で来てたけど、二人で来たのはあの日以来だなぁ。』と思ってると、星那が私の前にしゃがみ、おんぶの体勢をしてくれた。「い、いい!」と言っても「早く。この体勢自体結構恥ずかしいから」と言った横顔が少し赤かった。覚悟を決めて「し、失礼します!」と言っておんぶをしてもらい、波打ち際の木に座らせてくれた。二人で夕暮れの海をしばらく眺めていたら、「夕暮れも綺麗だな。」 「…そうだね」と言ったきり、2人はまた黙ってしまった。私は本当に久しぶりに星那と二人きりになってしまったから凄く意識しちゃって頭が真っ白になっていた。
夕暮れが水平線に消えて夜になる時、星那が「俺、海那を意識しちゃって何も話せなくなるんだ。」「そうなんだ…!‥え?!」「海那は忘れたと思うけど、小さい頃海那と見たあの綺麗な海の事俺はまだ覚えてる」「……」「俺、あの日に誓った通り、まだ海那の事が好きなんだ」…………
「だ、だって星那はいつもモテて、学校1可愛い千夏ちゃんの彼氏?で」「俺!この前も言ったけど今まで誰とも付き合った事無いよ?ずうっと海那一筋だから…だから俺と付き合ってくれないかな」私から顔を背けた星那の顔は夕焼けより赤かった。嫌われた訳じゃないんだ、迷惑じゃないんだ、昔の事覚えててくれたんだ。嬉しくて思わず涙が出て来てしまった。「星那、私もずっと前から星那の事が大好きです!」『やっと素直な気持ちを星那に言えて良かった!』とどこかスッキリした気持ちでいると、どこからか拍手の音が聞こえて来た。二人で振り向くとそこには潤がいた。「ずるいよなぁ…俺が千夏に捕まってる時こんなロマンチックな場所で告白ってずるいぞ!星那!」そういう潤は私を見て「海那の気持ちは解ってる。でも、俺にもちゃんと言わせてくれ。良いよな、星那。」「まぁ、お前のおかげで素直になれたし」という星那の言葉で潤は私の前に向き直り「昔、星那と約束したから、海那に自分の気持ち素直に言えなかったけど、今はちゃんと言わせてくれ」「海那、俺だって今でもお前が好きだ。」……「はぁー振られるって解ってる告白はかなりキツいぞ!海那、告白させてくれて有難う!」と言って私の頬にキスをした。
?!ビックリして固まっている時、星那が「あーッッ!俺だってそんな事してないのに!俺より前に海那の頬にキスするなぁ~ッッ!」と涙ぐむ私をよそに二人で走り回っていた。