無事、留守番の任務を終わらせ自分の部屋に戻った私は、星那の部屋に続くベランダを眺めていた。海岸で遊んでいた時長い縄ばしごを見つけた私達は、部屋に直接行き来出来る様にベランダとベランダの間に縄ばしごをくくりつけて渡っていたけど、すぐに見つかってはずされたんだっけ。
でも、その後すぐに大工さんが来て、二つのベランダを取り壊し、2人の部屋を繋ぐ大きな白いベランダを作ってくれた。
『昔はこのベランダが大活躍してくれて、2人でお菓子を食べたり、昼寝したり、海の上に上がる花火も見たり。雨の日とかはピクニックもしたなぁ』今では皆で見る花火大会の時しか使われず、数10meterしか離れていない星那の部屋に続く大きなベランダが逆に、心の距離を離している様に感じてた。仲良しだった頃が本当に懐かしい......。
『懐かしいといえば潤だよ。急に現れてビックリした。でも、あの顔を最近何かで見た気がするんだよなぁ』なんて考えながら私は布団に入り、そのまま眠ってしまった。朝になり、いつもの様にギリギリに起きて身だしなみもそこそこに家を出ると、そこには星那と潤の2人が立っていて、私はその光景に固まっていると「海那、おはよう!」って星那の隣にいた潤が笑いながら言っていた。そうだ‼潤が星那の家にいたんだった。と思いだし、緊張しながら潤に「お、おはよう」とだけ応えた。「海那遅すぎッッ!3人で学校行きたいからずっと待ってたんだよ。そろそろ行かないとマジ遅刻するぞ」と潤に言われて、前を歩く2人の後ろについて行った。『どうしよ。。星那と同じ電車に乗って登校なんかしたら皆に何言われるか。。。質問攻めにされるより遅刻した方がマシだよね!』と考え「あ、あの、忘れ物したから二人で先に行って」と後ずさりしたら、潤が「忘れ物?遅刻した方がまずいから。」と私の腕を掴み、そのまま駅に連れて行かれ、3人で電車に飛び乗った。星那はずっと不機嫌で、私は困惑してるのに、潤だけは楽しそうに「久しぶりだなぁ。こうやって3人で学校行くの♪」と言っていた。私は心の中で『星那、ごめんね。明日は絶対違う電車に乗るから』と心の中で謝った。最寄り駅まであと少しの時、ずっと私の腕を掴んでた手が離れたから、ちょっと気になって潤を見上げると、何故か綺麗な目をまた髪で隠していたから「潤、なんで目を隠すの?隠さない方が絶対良いよ」って言ったら潤は「だって僕、恥ずかしがりやだもん。それに星那よりモテたら海那、嫌でしょ?」なんて言って来たけど、どういう意味か全然解らなかった『潤って恥ずかしがりやだっけ?昔は人見知りなんてしなくてちょっと強引で。。。あ、そこは変わらないか』なんて考えていたら、いつの間にか最寄りの駅で降りていた。?!「あ。。。」後悔しようとしてるそばから、他の女子生徒のひそひそ声が聞こえて来た。星那が勘違いされちゃう!って思った私は2人をおいて学校まで走って行った。
まだ授業が始まってないのにドッと疲れてしまい、なんとか自分の席に座ったけど、ため息つく間もなくクラスの女子に囲まれ、星那君と仲が良いの?!いつも同じ電車で来てたの?!とか、図々しい!何様のつもり?!なんて事も言われて私は朝から注目を浴びてしまった。。『学校近くの駅では、私と星那以外皆反対方向の電車で来るから、一緒の電車で学校近くの駅に降りると目立つんだよね、だからいつも別々の電車にしてたのに‥。』
休み時間はなんとか逃れたけど、5時間目の授業が終わり、真央ちゃんと帰ろうとした時、女子3人に「話があるからちょっと来て」と呼ばれてしまった。真央ちゃんが「何の用?話があるなら今言いなさいよ!」と言ってくれたが、私は真央ちゃんに「大丈夫!話して来るだけだから、先に帰ってて。」と言って3人に付いて行った。
体育館の裏に来たら星那の彼女の千夏ちゃんもいた。千夏ちゃんの友達だったみたいで、その中の1人が「あんた、どういうつもり?!星那君といつも一緒の電車で来てたの?!星那君は千夏の彼氏なの知ってるよね?!どういう事かちゃんと説明するまで帰さないよ!」と言って突き飛ばされてしまった。「今日はたまたま一緒の電車になっただけだよ。白浜君と話した事もないし」と言って立ち上がろうとしたら「嘘付き!月白さん星那君の事好きなんでしょ!?だから後を付けて同じ電車に乗って話すきっかけ作ってるんでしょ?!」と千夏ちゃんが言ったから「ううん、違うよ」と言って、私はその後も説明しようとしたけど、千夏ちゃんは「まぁ、月白さんが星那君の事が好きでも、星那君は眼中に無いだろうしね!とにかく星那君は私の彼氏なんだからストーカーみたいな事しないでね!」と怖い顔で睨まれた。いつもニコニコして可愛い顔が鬼みたいな顔になっていた。「コワッッ!千夏ちゃんってそういうタイプだったんだ。星那が知ったら幻滅するなぁ」と言いながらこっちに歩いて来る男子がいた。よく見るとそれは潤で、潤まで巻き込んじゃう!と思った私は来ちゃダメ!と首を振っていたけど、千夏ちゃんが「男子に関係ないでしょ?!向こう行ってて!」と潤に言ったのに、潤は「そういう訳には行かないのよ、大事な探し物があって、それを見つけるまで俺はどこにも行かないよん♪」と言いながら4人の前を通り過ぎて私の前で立ち止まり「見っけ♪」と指を指しながら楽しそうに言った。...ブッッ!ハハハハハ!「大事な探し物って月白さんの事?!良かったじゃん!月白さん!同類の友達と仲良くしてもらいなよ!」と言いながら手を叩いて笑っていた。潤が私を連れて戻ろうとしたら、千夏ちゃんが「とにかく!私の星那君に近づかないでよね!あんたにはその地味な転校生がお似合いなんだよ!」と潤の事もバカにして来た。さすがに頭に来て『そんな言い方ないでしょ?』って言おうとしたら、「やっぱ俺と海那お似合いでしょ?俺海那の事ずっと前から好きだったんだ。。星那も知ってるだろ?」と潤が視線を向けた方を見たらそこには息を切らしながら立っている星那と真央ちゃんがいた。星那に気付いた千夏ちゃんは星那に駆け寄ると「ち、違うよ?!月白さんが、星那君は私の彼氏だから千夏に近寄らないで!とか言うから、千夏が星那君は千夏と付き合っているんだよ、って教えてあげてたの。星那君、千夏の事信じてくれるよね?」といつもの可愛い千夏ちゃんに戻っていた。そんな千夏ちゃんを押しのけ、星那が「潤、今の冗談だろ?」とこっちに歩きながら潤に言った。潤は「本当だよ。俺ずっと後悔してたんだ。勿論今でも二人が好きあってたなら約束通り黙っておこうと思ったけど、星那はその子と付き合ってるなら関係ないよな」と言って私に向き直り「海那の事が昔も今も変わらず好きなんだ。俺と付き合ってくれないか?」と言い終わったと思ったら、突然星那が「俺は誰とも付き合ってねぇ!」と言いながら潤を殴った。私は咄嗟に止めに入ろうとしたら、「約束しただろ?俺との約束をもう忘れたのか!?」と言って潤の襟を持って揺さぶっていた。昔の約束?潤が私を好き?なんで?突然目の前で言い合いになった2人が何の話をしてるのか私には全く理解が出来なかった。頭が混乱している私を真央ちゃんが「送って行くから帰ろう」と言って、家まで送ってくれた。「真央ちゃん、私訳が解らないよ...何で潤は突然あんな事を言い出すの?私を助ける為?何で星那は潤を殴ったの?昔の約束を守らなかったから?千夏ちゃんと星那付き合ってるんでしょ?」考えても考えても意味が解らなくて真央ちゃんに聞いてみた。「詳しい事は良く解らないけど、白浜君、北山君は海那の事が好きなんだよ」