次の年には忘れてしまう

 
 
行きも帰りも、ひとりではない墓地への道など初めてだった。雪穂が何気なく漏らすと、冬夜からは、これからはそうしましょうと提案をされてしまう。道中が心配で、今まで生きた心地が実はしていなかっただとか、一緒にこれからは行きたいなどと言われてしまえば、雪穂に断る選択肢は微塵もなくなる。


色々と考えるようにはなったけれど、自分はずいぶんと簡単な性格だと、これはいいことなのか悪いことなのか雪穂は脳みそを捻ってみた。それとなく今度友人に相談でもしてみよう。


「どうかした?」


どうやら、気を張っていると口調も固くなる冬夜は、隣を歩きながら思考に浮遊する雪穂の目の前に手をちらつかせた。気付くと、もう角を左に曲がると自宅というところまで来ていて、あと数歩歩くと電柱にぶつかってしまうところだった。


「っ、すみませんっ、いいえっ、何も。……ちょっと友人のことを」


「ならいいけど……これから宴会があるんだから、万全で挑まないと」


どうか楽しんで下さいと微笑まれ、雪穂は思わず冬夜のコートの袖口を摘まんでしまった。


そこはもう自宅の前で。


去年中止となってしまった宴会は今年は開催される。あと数時間もすれば、友人たちが集まってくれる。


けれど、雪穂は寂しくて寂しくて、冬夜と別れ難くて堪らなくなった。


強欲だと冬夜のコートから手を離すと、雪穂は誤魔化すように言葉を発した。


「あの……それでは、また」


何の気なしに、けれど初めてだった雪穂からの次を含んださよならに冬夜は破顔して、実は別れ難いと頬を染める。それを見てしまい、雪穂も身体全部が赤に染まった。


互いに心で反省をする。もう、言っているようなものだと。




叶うなら、一生大切にしていきたいと心が叫んだ。







――END――