――――――
――――
――
こんばんは、と声がするのは既視感か……。
四度目となってしまった冬夜との墓地での邂逅に、雪穂は内心で動揺する。
十二月三十一日、二十二時のこと。
「お誕生日おめでとうございます」
「あ……りがとうございます」
何をもって、毎年毎年この人はここにいるのか……それは用があるからなのだろうけれど、何故毎年毎年この人は自分に話しかけてきてくれるのか。もう、いっそのこと日時をこちらがずらしたら。
思うけれど、雪穂自身、もうそれをすることはないだろうと確信をしている。
――ああ。認めるから。
一年に一度、毎回一時間程の間しか交流をもたない冬夜に、雪穂は恋をしている。一目惚れなんて馬鹿げたことは言いたくないけれど、否めない節もあってしまう。
ありがとうございます、と冬夜は言った。初めて会ったとき、三年前のこと。冬夜は、傘を差し出した雪穂に対してそう言える人だった。自分のことで精一杯なはずの彼は。
私は言えなかった……彼は、言える人。
そんな人間が冬夜だけだとは、まさか雪穂も思ってはいない。けれど、心打たれるには充分だったと、この一年間の考察によってひとつ思い当たった、きっかけ。
素敵だと、 この今は弱々しい素敵な人を雪穂は瞬間に気に入ってしまったのだ。あとはもう、なし崩しだとか蟻地獄だとか芋づる式だとか、例えは何故か悪くなってしまうけれど好意というものは増えていく。
年に一度。どこかおとぎ話のような淡い淡い、地に足がつかないような恋でも、想いというのは増していくもので。
雪穂は冬夜への気持ちを、一年かけて、認めてからは膨張を抑制するのに努める方向にシフトチェンジした。年内中の想いだなんて、早々に匙を投げた。



