優しく、したかった。大切だと、守りたいと思った。そうありたいとした雪穂の頬がほわりと熱をもつ。初めてだった前回、冬夜に抱いた感情は、そんなようなものだった。
祖母や友人、かつては母や父にも抱いていた。……けれど、種類は少しばかり違う。
小学生の頃の、同じクラスのあの子にも抱いたそれ……に似ている? 高校生のときのあの人にも。
会いたくて寂しかった。優しくしたい、もっと。し足りない。
こんなイレギュラーは今年で終わるのになんてこと。もう冬夜は目的を果たしたのだから、会うことはない。
……ああ。色々と馬鹿だなあと雪穂は再度臍を噛む。年を跨いで、またも考えてしまった。
昔よりももう少し生々しいこの感情は、自分が大人になったからなのか。慰める必要のなかった今回の冬夜の背中。そこに手をあてたくなったなんて。
「……」
……まあいいか、仕方がない。雪穂は諦めた。考えないことを諦め、継続を受け入れる。数時間前の去年には、年が明けたら忘れると思っていたというのに。
ゆっくり考えればいい。友人たちが経験している、心乱されるようなそれとは違う。顔を合わせ対応に悩むようなことは雪穂にはない。
まずは、冬夜に対して、どうしてそんな気持ちになってしまったのか考えよう。雪穂と冬夜の交流など、ほんの僅かなこと。それが何故……原因など、あってないようなものかもしれないけれど。
雪穂は追求していくことにした。芽吹いたものはあるけれど、成長見込みはなく、いずれ枯れていくかもしれないし。
それなら、それでいい。どうせもう会わないのだし、そちらのほうがいいかもしれない。



