次の年には忘れてしまう

 
 
「同族……」


……嫌悪、ではない。嫌悪などしていないし、同族に続く言葉がそれしか思いつかなかったからそれだけのこと。


ただの、理由は異なれど、救いのようなものが必要だった者同士なだけ。


消えてくれない。ただ一日のどこかで頭をよぎる。


ただ、それだけのことなのだけれど。


雪穂は考えるのが苦手だ。嫌いなのだと自分で思っている。考えることはきっと全て悪い方向にしか行かないから考えない。雪穂は、八年前に勝手に悟った。子供じみた思考だとは思うけれど、これはもう自分の一部に成り下がってしまったものだから変化は難しい。進化は、いつかしていくのだろうか。





季節は冬となり、もうすぐ雪穂の誕生日がやってくる。今年最後の十二月三十一日。


きちんと仕事をして休みには友人たちと遊んだりひとりで過ごしたり。なにひとつ変化はなく。毎日自分と飼い猫のご飯を作り共に食べる。洗濯をし掃除もそれなりにこなし、時折祖母に会いに行く。


そうだ。変わったこともある。お気に入りのショップが最寄りの駅ビルに入ったので、悩んだ末にそこの駅ビルのカードを作った。ポイントが貯まるからお得ですよと誘惑されて。


漏れていた年賀状を郵便局まで出しに行き、どこかそわそわとした街中を楽しみながら、雪穂は毎年恒例のバースデーケーキを受け取った。


ケーキは帰ったら冷蔵庫に仕舞う。こんな寒い季節なら玄関先でも大丈夫だろうけれど、やっぱりそれは落ち着かない。


あと数時間後には、雪穂は今年も祖母の元へ行く。命日の花を供えに、自分の誕生日を祝いに。きちんと祝うことは祖母の遺言だ。


あと数時間後には、雪穂は今年も祖母の元へ行く。


そうして雪穂は、もうすぐ、わからないことが、もう少しだけ、わかるようになる――。