「ちゃんと話できたのかよ! 遊佐はなんも教えてくれねーし……。なんで泣いてたんだよ」 「良いから! もう、ほんとに良いから。ほっといて」 「聖琉!」 「……部活行くから」 「待てって――」 手を掴もうとしたけど、彼女は俺に背を向けて校舎の方へ走っていく。 「お前はそれで本当に良いのかよ!」 彼女の背中に叫ぶ。 周りの目が全て俺に向いたけど、気にすらならなかった。 ただ彼女がまた、泣いてるんじゃないかと――彼女の背中を見つめながら思った。