彼に憧れていた頃の私を思い出して、

もうあの頃みたいに彼を想う事はできないんだ、と感じ、切なくなる。



「あの、さ」


彼がふいに口を開く。



私は無意識に、彼を見つめてみとれているのに気付いて、すぐに目を逸らし、

顔に熱を持っている事を認識する。



「付き合った事、ナシにしてほしい」


「……は?」



――待って、何て言った? 今。



せっかく逸らした目線を彼に戻す。


すると、今度は彼が目線を逸らした。