それは、今までどれだけ願っても、私に向けられる事がなかった――大好きな声。 他の誰よりも魅力的で、かすれる事もよくある、低い、落ち着いた声。 元々低音ボイスが好きな私。 彼の声より彼の方を先に好きになったんだけど、私は彼の声を聞くとすぐに反応してしまう。 中学では言葉も交わさなかった私達。 業務内容しか話した事がない。 係の仕事、とか。 それでも話しかけるのはいつも私からで、彼から話しかけられた事はない。