――お、俺の名前…… やばい、嬉しい……。 「えっ、なに、聖琉、こいつのこと好きなの?」 ――おい龍何言ってんだよ! ってつい慌てて言いそうだったけど、手嶋さんの「はぁ!?」って声の方が早かった。 彼女が俺の大好きな笑顔で笑ってて、俺はそれが龍に向けられてるって思って嫌な気持ちがした。 でも、初めて名前を呼ばれて、嬉しかった。 ――複雑な気持ちだ。 なんで話したこともないくせにこんなに想ってるんだろう。 それから手嶋さんとよく目が合うようになった。