「聖琉ちゃん……?」


走ってきた聖琉ちゃんにかけた声は、気付かれなかったみたいだ。


いつも笑ってる聖琉ちゃんの様子がおかしかった。


追いかけようと足を動かした瞬間――


「あーゆー完璧な子にいられたら、私らの立場ないからね」


女子部室の方から、女バスらしき声が聞こえる。


「前からウザいって思ってたけどさ、最近はキョウが……」


俺は自分を制御する間もなく、ドアに手をかけていた。