「どうして泣いてるんだ?」


そこで私は初めて気付く。


頬に伝う、冷たい雫。


「っっ……! これは……」


慌てて両手で拭う。


「川谷君こそ、なんでここに?」


そうだ、彼がここにいるのはおかしい。



だって蘭宮高校は桜ヶ丘高校とは逆方向だし、

そもそも高校へ入学してから1度も会ったことがない。



「龍ん家に呼ばれてて、その帰り」


「そ……なんだ」